染色体の異常は、種類によっては遺伝する可能性がありますが、ほとんどのもの(ダウン症候群やターナー症候群など)は世代を超えて遺伝することはありません。
染色体異常には、染色体数の変化により起こるものがあります。これらの変化は遺伝により生じるのではなく、生殖細胞(卵子や精子)が形成されるときのランダムな事象として起こります。染色体不分離と呼ばれる細胞分裂のエラーにより、異常な数の染色体を持つ生殖細胞が生じます。例えば、生殖細胞において染色体のコピーが偶然1つ増えたり、失われたりすることがあります。こうして生じた非典型的な生殖細胞によって子どもの遺伝子が構成された場合に、その子どもの体を形作る各細胞の染色体に余分や不足が生じます。
染色体異常には、染色体の構造の変化により起こるものもあります。染色体構造の変化には、遺伝するものもあれば、生殖細胞の形成時や胎児の発育初期にランダムな事象として起こるものもあります。こうして生じる変化の遺伝は複雑であるため、この種の染色体異常が心配な方は、遺伝学の専門家に相談するとよいでしょう。
がん細胞の中にも、染色体の数や構造が変化しているものがあります。これらの変化は体細胞(卵子や精子以外の細胞)で起こるため、世代を超えて受け継がれることはありません。(提供:ステラ・メディックス)