ゲノムインプリンティングと片親性ダイソミーとは?

遺伝性疾患プラス編集部

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ゲノムインプリンティングと片親性ダイソミーは遺伝性疾患の遺伝の仕方に影響を与える要因です。

ゲノムインプリンティング

ヒトは遺伝子を受け継ぐときに1つの遺伝子当たり2個(2コピー、遺伝子の個数はコピーと表される)ずつ受け継ぎます。1個は母親から、もう1個は父親からです。通常それぞれの遺伝子のコピーは両方とも細胞内で活性化、つまり「オン」になっています。しかし、特定の場合、2個のコピーのうち1個だけが普段オンになることもあります。遺伝子によっては父親から受け継いだときだけ活性化し、別の遺伝子は母親から受け継いだときだけ活性化するのです。この現象は、ゲノムインプリンティングと呼ばれています。

ゲノムインプリンティングの特徴を持った遺伝子では、卵子や精子の細胞が形成される際に、その親に由来する遺伝子に印が付けられることがよくあります。この印はメチル化と呼ばれ、DNAの特定の部分にメチル基と呼ばれる小さな分子を付加させる化学反応です。この分子によって、ある遺伝子のどのコピーが母親から受け継いだもので、どのコピーが父親から受け継いだものかが識別されます。メチル基を付加したり除去したりすることで、遺伝子の活性を制御することができるのです。

ゲノムインプリンティングの特徴を持つ遺伝子は、ヒトの全遺伝子のうちごく一部に過ぎません。なぜ、遺伝子によってはインプリンティングの特徴を持ち、遺伝子によってはそうした特徴を持たないのかという理由はまだわかっていません。しかし、インプリントされた遺伝子は、染色体の同じ領域に集中する傾向があることは分かっています。一つは11番染色体の短腕(11p15)、もう一つは15番染色体の長腕(15q11から15q13の領域)です。

片親性ダイソミー

片親性ダイソミー(UPD)は、片方の親から染色体あるいは染色体の一部のコピーを2つ受け継ぎ、もう片方の親からは受け継がない場合に生じます。UPDは、卵細胞や精細胞の形成過程でランダムに起こることもあれば、胎児の発育の初期に起こることもあります。

多くの場合、UPDは健康や発育に影響を与えません。ほとんどの遺伝子はインプリンティングの特徴を持たないため、片方の親から1コピーずつではなく、両方から受け継いだとしても問題にはなりません。しかし、場合によっては、遺伝子を母親から受け継ぐか父親から受け継ぐかによって違いが生じることがあります。UPDの人は、ゲノムインプリンティングの特徴を持つ必須な遺伝子の、活性のある方のコピーを持っていない可能性があります。これによって生じた遺伝子機能の喪失は、発達の遅れ、知的障害、その他の健康問題につながる可能性があります。

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UPDや正常なゲノムインプリンティングの破綻によって、遺伝性疾患が引き起こされることがあります。最もよく知られた疾患として、制御不能な摂食と肥満を特徴とするプラダー・ウィリ症候群や、知的障害と言語障害を引き起こすアンジェルマン症候群があります。これらの疾患はいずれも、15番染色体長腕の遺伝子が関与するUPDやその他のインプリンティングのエラーによって引き起こされる可能性が考えられています。また、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群(成長の促進とがん性腫瘍のリスク増加を特徴とする疾患)のように、11番染色体短腕のインププリンティングの特徴を持った遺伝子の異常が関連する疾患もあります。(提供:ステラ・メディックス)

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