遺伝性疾患はどのように親から子へ遺伝しますか?

遺伝性疾患プラス編集部

  • 2021.12.28 公開 (最終更新: 2022.02.03)
  • 遺伝形式
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遺伝性疾患の中には、一つの遺伝子の変異によって引き起こされるものがあります。こうした遺伝性疾患は通常、原因となる遺伝子やその変異に応じて、下表のようにいくつかあるパターンのうちの一つのパターンで遺伝します。

遺伝パターン 説明
常染色体優性(顕性)遺伝 常染色体優性(顕性)遺伝性疾患は、各細胞に1組ある遺伝子の片方のコピーに遺伝子変異があるだけで発症する。親から遺伝する場合もあれば、病気の家族歴がない人でも、遺伝子に新たな変異が起こり発症する場合がある。 ハンチントン病
マルファン症候群
常染色体劣性(潜性)遺伝 常染色体劣性(潜性)遺伝性疾患は、各細胞に2つ1組で存在する遺伝子の双方のコピーに変異が生じることで発症する。多くの場合、常染色体劣性(潜性)遺伝性疾患を発症している人の両親は変異のある遺伝子のコピーを1つずつ持つが、通常、この疾患を発症していない(保因者という)。そのため、このパターンで遺伝する疾患は、通常、罹患した家族のすべての世代で見られるわけではない。 嚢胞性線維症
鎌状赤血球症
X連鎖優性(顕性)遺伝 X連鎖優性(顕性)遺伝は、X染色体上の遺伝子変異によって引き起こされる。男性(X染色体を1つのみ持つ)では、各細胞内の唯一の遺伝子のコピーに変異があると疾患を発症する。女性(X染色体を2本持つ)では、各細胞に存在する2つの遺伝子コピーのうち1つに変異がある場合に疾患を発症する。女性の場合、男性よりも症状が軽いことがある。X連鎖遺伝の特徴として、父親から息子にはX連鎖形質は引き継がれない(男性から男性への伝達はない)。 脆弱性X症候群
X連鎖劣性(潜性)遺伝 X連鎖劣性(潜性)遺伝性疾患も、X染色体上の遺伝子変異によって引き起こされる。男性(X染色体を1つのみ持つ)では、各細胞内の唯一の遺伝子のコピーに変異があると疾患を発症する。女性(X染色体を2本持っている)の場合、遺伝子の両方のコピーに変異が生じた場合に疾患を発症する。女性が変異した遺伝子のコピーを2つ持つことはまれなため、男性は女性よりも高い頻度でX連鎖劣性(潜性)遺伝性疾患の影響を受ける。X連鎖遺伝の特徴として、父親から息子にはX連鎖形質は引き継がれない(男性から男性への伝達はない)。 血友病A血友病B
ファブリー病
X連鎖遺伝 多くのX連鎖性疾患の遺伝パターンは、明確に優性(顕性)または劣性(潜性)であるとは言い切れないため、専門家の中には、X連鎖性優性(顕性)遺伝やX連鎖性劣性(潜性)遺伝ではなく、X連鎖性疾患とみなすことを提案する人もいる。X連鎖性疾患は、細胞内の2本の性染色体のうちの1本であるX染色体上の遺伝子変異によって生じる。男性(X染色体を1本のみ持つ)の場合、各細胞内の唯一の遺伝子のコピーに変異があるだけで、この疾患を引き起こす。女性(X染色体を2本持っている)の場合、1つの遺伝子のコピーが変異した場合、通常、男性の場合よりも疾患が軽症であるか、全く症状が現れないこともある。X連鎖遺伝の特徴として、父親から息子にはX連鎖遺伝の形質は引き継がれない(男性から男性への伝達はない)。 グルコース-6-リン酸-脱水素酵素欠損症
X連鎖性血小板減少症
Y連鎖遺伝 疾患の原因となる遺伝子が、男性の細胞内にある2本の性染色体のうち、Y染色体上に存在する場合、その疾患はY連鎖とみなされる。Y染色体を持つのは男性だけなので、Y連鎖遺伝では、父親から息子にしか疾患が伝わらないことになる。 Y染色体による不妊症
スワイヤー症候群の一部
共優性 遺伝子によっては、いくつかバージョン(対立遺伝子)があり、それぞれのバージョンがわずかに異なるタンパク質を作るものがある。共優性遺伝では、こうした場合に両方の対立遺伝子が遺伝形質に影響を与えたり、遺伝性疾患などの特徴を決定したりする。 ABO式血液型
α1アンチトリプシン欠損症
ミトコンドリア病 ミトコンドリア病は、細胞核の遺伝子変異によるものと、ミトコンドリアDNAの遺伝子変異によるものがある。ミトコンドリアとは、細胞内で分子をエネルギーに変換する構造体で、それぞれに少量のDNA(ミトコンドリアDNA)が含まれている。卵子、つまり女性のミトコンドリアのみが子どもに受け継がれるため、女性のミトコンドリアの変異のみが子どもに受け継がれる。ミトコンドリアDNAの変異に起因する疾患は、男女ともに家系のどの世代にも現れる可能性があるが、父親から娘や息子にこれらの疾患が伝わることはない。 リーバー遺伝性視神経症(LHON)

 

疾患の多くは、複数の遺伝子による複合的な影響(多遺伝子性と表現される)や、遺伝子と環境の相互作用によって引き起こされます。そのためこうした疾患は通常、上記のような遺伝のパターンには従いません。複数の遺伝子の変異や遺伝子と環境の相互作用によって引き起こされる疾患の例としては、心臓病、2型糖尿病、統合失調症、ある種のがんなどがあります。(提供:ステラ・メディックス)

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