【教えて!編集長 Radio ver.】⑯遺伝差別の調査、差別を受けた経験は?

遺伝性疾患プラス編集部

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二瓶: 皆さん、こんにちは!遺伝性疾患の患者さん・ご家族向けメディア「遺伝性疾患プラス」編集長の二瓶です。「教えて!編集長」は、遺伝性疾患に関わる難しい内容をわかりやすくお届けするコーナーです。

山田: 皆さん、こんにちは!遺伝性疾患プラス編集部の山田です。今回も、ラジオ感覚で聞いて頂ける音声コーナーでお届けします。

二瓶: 今回ご紹介するニュースは、「日本人の遺伝差別に関する意識調査、結果公表」です。

これは、東京大学医科学研究所の研究グループが実施した、一般市民を対象としたインターネット調査の結果です。「日本で遺伝情報による差別を受けた経験」や「差別防止のための罰則を伴う法律に関する意識」などについて、2017年と2022年に調査が行われました。

山田: 「遺伝情報による差別」って、例えば、どんなことが考えられますか?

二瓶: 就職活動や会社での昇進、民間保険への加入、結婚や妊娠を考える時に、遺伝学的検査の結果などをもとに差別を受ける可能性が指摘されています。

こういった遺伝情報への差別を防ぎ、適切にゲノム医療を推進していくための第一歩として、2023年に「ゲノム医療推進法」(良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律)という法律が施行されました。

山田: 今回の調査では、どのくらいの人が差別を受けたと回答しましたか?

二瓶: 2017年、2022年ともに、回答者の約3%が、ご自身やご家族が何らかの遺伝情報による差別的な取り扱いを受けた経験があると回答しました。

山田: 遺伝情報の利用については、どうでしたか?

二瓶: 「遺伝情報が病気の予防に役立つと思う」と回答した人の割合は、2017年より2022年で増加傾向でした。

一方で、「遺伝情報の不適切な取り扱いや、遺伝情報による差別の懸念がある」と回答した人の割合は、2017年より2022年で減少傾向となっていました。

山田: 遺伝情報による差別などに対する、法規制のニーズはどうでしたか?

二瓶: 2017年、2022年ともに、回答者の7割以上が「何らかの法規制が必要である」と回答しました。最も多かったのは、同意なく遺伝情報を第三者に提供・転売することに対する法規制を必要とする、という内容です。

補足すると、2023年に施行された日本の「ゲノム医療推進法」には、罰則は設けられていません。米国などでの法律では、違反事項に対して罰則が設けられています。

遺伝性疾患プラスでは、「ゲノム医療推進法」について専門家インタビューを企画しています(※)。記事掲載を通じて、もっと詳しい情報をお届けしますので、楽しみに待っていてくださいね(※専門家インタビュー記事はコチラから)。

それでは、今回のニュースのポイントをおさらいしましょう。

  1. 回答者の約3%が、「自身や家族が遺伝情報による差別的な取り扱いを受けた経験がある」と回答
  2. 回答者の7割以上が「法規制は必要」と回答
  3. 遺伝情報への差別を防ぎ適切にゲノム医療を推進するため、日本では「ゲノム医療推進法」が施行された。

詳しい情報は、YouTubeの説明欄、もしくは記事の関連リンクにあるニュース記事をチェックしてみてくださいね。今日はここまでです。それでは、次回もお楽しみに。さようなら!

山田: 二瓶さんのウクレレと一緒にお届けしました!(遺伝性疾患プラス編集部)

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