二瓶: 皆さん、こんにちは!遺伝性疾患の患者さん・ご家族向けメディア「遺伝性疾患プラス」編集長の二瓶です。「教えて!編集長」は、遺伝性疾患に関わる難しい内容をわかりやすくお届けするコーナーです。
山田: 皆さん、こんにちは!遺伝性疾患プラス編集部の山田です。今回も、ラジオ感覚で聞いて頂ける音声コーナーでお届けします。移動の際や、家事の隙間時間を使って、ぜひ聞いてみてくださいね。
二瓶: 今回は、読者の皆さんからもご希望が寄せられた「日本語で聞く!海外ニュース」をテーマに、解説していきます。
今回解説する海外ニュースは、「表皮水疱症、遺伝子治療用ジェルを皮膚に塗布する臨床試験で治療効果を確認」です。
アメリカのスタンフォード大学を中心とした研究グループが、表皮水疱症(ひょうひすいほうしょう)を対象に行われた、「遺伝子治療用ジェル」の臨床試験の結果を発表したものです。
患者さん9人の症状が現れている皮膚部分に遺伝子治療用ジェルを塗ったところ、症状が改善し、良くなった状態が数か月間、持続したという報告でした。
山田: 表皮水疱症は、どんな病気なんですか?
二瓶: 表皮水疱症は、皮膚が非常に弱く、軽くこすったり引っかいたりしただけで水ぶくれや皮膚の潰瘍を生じる遺伝性疾患です。今回の臨床試験の対象となった患者さんは全員、7型コラーゲンの遺伝子(通称:COL7A1)に変異を持つ「栄養障害型」という病型でした。
山田: 遺伝子治療用ジェルは、皮膚に塗るタイプの遺伝子治療なんですか?
二瓶: そうですね。この開発中の遺伝子治療用ジェルは、毎週、包帯を交換するタイミングで皮膚にジェルを塗り、正常な遺伝子を皮膚に送り込む仕組みです。このジェルには、安全に改良した単純ヘルペスウイルスが“運び屋”として含まれており、正常な7型コラーゲン遺伝子を送り込んでいるんですよ。
山田: 今後、実際にこの遺伝子治療を受けられるようになる可能性はあるのでしょうか?
二瓶: 今の時点では、まだ研究段階なのでわかりません。アメリカでは第3相試験が完了し、FDA(米国食品医薬品局)に提出しようという段階だと発表されています。FDAとは、日本の厚生労働省と似た役割を持つ機関で、この治療を承認するべきか、これから審議が重ねられます。もし承認されたら、今後、表皮水疱症の新しい治療の選択肢となるかもしれませんね。
それでは、最後に、今回の海外ニュースのポイントをおさらいしましょう。
- 表皮水疱症対象の「遺伝子治療用ジェル」の臨床試験の結果、患者さんの症状が改善し、その状態が数か月にわたり持続
- まだ承認されたわけではなく、研究段階の遺伝子治療
詳しい情報は、YouTubeの説明欄、もしくは記事の関連リンクにある海外ニュース記事をチェックしてみてくださいね。
今日はここまでです。それでは、次回もお楽しみに。さようなら!
山田: 二瓶さんのウクレレと一緒にお届けしました!(遺伝性疾患プラス編集部)