【教えて!編集長 Radio ver.】⑦血友病B初の遺伝子治療薬、米FDAで承認

遺伝性疾患プラス編集部

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二瓶: 皆さん、こんにちは!遺伝性疾患の患者さん・ご家族向けメディア「遺伝性疾患プラス」編集長の二瓶です。「教えて!編集長」は、遺伝性疾患に関わる難しい内容をわかりやすくお届けするコーナーです。

山田: 皆さん、こんにちは!遺伝性疾患プラス編集部の山田です。今回も、ラジオ感覚で聞いて頂ける音声コーナーでお届けします。隙間時間を使って、ぜひ聞いてみてくださいね。

二瓶: 今回も、「日本語で聞く!海外ニュース」をテーマに、解説していきます。

今回解説する海外ニュースは、血友病Bの遺伝子治療薬「HEMGENIX」を米国FDAが承認です。

アメリカのFDA(米国食品医薬品局)が、世界で初めての血友病Bに対する遺伝子治療を承認しました。治療の適応となるのは、3つの条件のいずれかに該当する成人の血友病B患者さんです。3つの条件とは、「第IX(9)因子の予防的投与を受けている」「現在もしくは過去に命に関わる出血を経験した」「重篤な自然出血を繰り返している」です。

山田: 血友病Bは、どんな病気なんですか?

二瓶: 血友病Bは、非常に血が止まりにくくなる病気です。主に肝臓でつくられる血液凝固因子の「第IX因子」の活性が全くない、もしくは十分な活性が得られないことが要因です。

山田: どのような治療法がありますか?

二瓶: 現在有効な治療法とされているのは、第IX因子を補充する「補充療法」です。中等度から重度の血友病Bでは、予防的に第IX因子の補充を受ける治療法もあります。補充療法は有効である一方で、生涯にわたって定期的に受け続ける必要があるんです。

山田: そうなんですね。それでは、今回の遺伝子治療はどういう治療なんですか?

二瓶: 一度治療すれば、その後持続的に体内で第IX因子をつくれるようにする遺伝子治療です。具体的には、通常より5~8倍活性の高い第IX因子を作るように設計された遺伝子を、AAV(アデノ随伴ウイルス)5ベクターという遺伝子の“運び屋”を用いて肝臓の標的細胞に運びます。運ばれた遺伝子は標的細胞に残り、安定して機能的な第IX因子を作り続けるという仕組みなんですよ。なお、治療によって体内に入った遺伝子は、ヒトのゲノムDNAの一部として組み込まれることはありません。

現在進行中の治験の結果から、出血が減ることや、予防的補充療法を中止できることなどが期待されています。

山田: この遺伝子治療薬は、日本でも承認されていますか?

二瓶: いいえ、まだ承認されておらず、今は、アメリカのFDAが承認した段階なんです。

それでは、最後に、今日の海外ニュースのポイントを2つおさらいしましょう。

  1. 血友病Bに対する世界初の遺伝子治療薬がアメリカで承認(日本では未承認)
  2. 出血率の減少や、予防的補充療法の中止が期待される

詳しい情報は、YouTubeの説明欄、もしくは記事の関連リンクにある海外ニュース記事をチェックしてみてくださいね。

今日はここまでです。それでは、次回もお楽しみに。さようなら!

山田: 二瓶さんのウクレレと一緒にお届けしました!(遺伝性疾患プラス編集部)

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