二瓶: 皆さん、こんにちは!遺伝性疾患の患者さん・ご家族向けメディア「遺伝性疾患プラス」編集長の二瓶です。「教えて!編集長」は、遺伝性疾患に関わる難しい内容をわかりやすくお届けするコーナーです。
山田: 皆さん、こんにちは!遺伝性疾患プラス編集部の山田です。今回も、ラジオ感覚で聞いて頂ける音声コーナーでお届けします。
二瓶: 今回ご紹介するニュースは、「筋ジストロフィー(DMD)の新しい細胞治療、抗炎症作用と運動機能改善効果を確認」です。
東京大学などの研究グループは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対する、羊膜間葉系間質細胞を用いた治療の有用性をマウスで明らかにしたと発表しました。
山田: 羊膜間葉系間質細胞って何ですか?
二瓶: 出産の時、お母さんと赤ちゃんをつないでいた胎盤から分離した「羊膜」に由来する細胞のことです。「間葉系間質細胞」は、いろいろな種類の細胞に分化する能力のほか、免疫を抑える作用も持っている細胞で、移植に有用な細胞の1つとして注目されています。
山田: 今回の研究では、どのようなことがわかったんですか?
二瓶: デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、筋肉が障害される、重症度の高い遺伝性疾患です。筋肉で起こる「慢性炎症」が病気の進行に関わることが知られているため、研究グループは、羊膜間葉系間質細胞の「免疫を抑える作用」が治療に結びつくのではないかと考え、この病気のモデルマウスを用いて検証をしました。
その結果、ヒト由来の羊膜間葉系間質細胞を投与して治療したマウスは、治療しなかったマウスと比べて、足の筋肉の炎症が軽症でした。また、治療したマウスでは、炎症による筋線維の壊死が抑えられていることも確認されました。
山田: 運動機能の改善は見られたのでしょうか?
二瓶: 長期にわたって改善が見られたとの報告です。例えば、握力は治療から40週以上経過しても維持されており、また、治療しなかったマウスよりも長く走っていた、つまり、走行の持久力が有意に改善されたことが示されています。
それでは、今回のニュースのポイントをおさらいしましょう。
- デュシェンヌ型筋ジストロフィーのモデルマウスで羊膜間葉系間質細胞を用いた細胞治療を検証
- 抗炎症効果と運動機能の長期維持効果を確認
- ヒトを対象とした臨床試験の開始が発表された
詳しい情報は、YouTubeの説明欄、もしくは記事の関連リンクにあるニュース記事をチェックしてみてくださいね。今日はここまでです。それでは、次回もお楽しみに。さようなら!
山田: 二瓶さんのウクレレと一緒にお届けしました!(遺伝性疾患プラス編集部)
関連リンク