二瓶: 皆さん、こんにちは!遺伝性疾患の患者さん・ご家族向けメディア「遺伝性疾患プラス」編集長の二瓶です。「教えて!編集長」は、遺伝性疾患に関わる難しい内容をわかりやすくお届けするコーナーです。
山田: 皆さん、こんにちは!遺伝性疾患プラス編集部の山田です。今回も、ラジオ感覚で聞いて頂ける音声コーナーでお届けします。
二瓶: 今回は「浸透率」を解説します。
山田: 「浸透率」って、何ですか?
二瓶: ある遺伝子変異を持っている人のうち、遺伝性疾患を発症する人の割合のことです。例えば、「浸透率100%」の場合、病気の原因となる遺伝子変異を持つ人は必ずその病気を発症するという意味なんですよ。
それでは、ここで〇✕クイズです。「遺伝性のがんは、全て「浸透率」が100%である」これは〇と✕、どちらが正しいでしょうか?
正解は「✕」、全てではないんです。
山田: そうなんですね。海外の女優さんが予防のために乳房を切除したことで話題になった「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」の浸透率は100%ですか?
二瓶: 遺伝性乳がん卵巣がん症候群の浸透率は、100%ではありません。この病気を引き起こすとされているのが、BRCA1(ビーアールシーエーワン)、BRCA2(ビーアールシーエーツー)遺伝子の変異です。この遺伝子は、BRCA1(ブラッカワン)、BRCA2(ブラッカツー)と呼ばれることもあります。この遺伝子変異を持つ人は、生涯のうちにがんを発症することが多いとされています。ただ、一生がんを発症しない人もいるんですよ。
山田: だから、遺伝性乳がん卵巣がん症候群は浸透率100%とは言えないんですね。
二瓶: そうなんです。一方で、例えば、フォン・ヒッペル・リンドウ病では、原因となる遺伝子変異を持っていると、ほぼ100%病気を発症します。他にも、浸透率の高いがんはいくつかあるんですよ。
山田: もし、遺伝性のがんの原因となる遺伝子変異を持つとわかった場合、どういったことに気を付けたら良いですか?
二瓶: 日常的に自分でチェックすることだけでなく、専門の検査装置がある医療施設へ定期的に受診することが大切です。医師から、ガイドラインに基づいたアドバイスや紹介を受け、行動しましょう。
それでは、今日の内容を歌に乗せておさらいしてみましょう!
(歌)
♪病気に関わる遺伝子変異を持つ人がみんな発症したら
浸透率が100%と表現するんだよ~
浸透率は重要ワード
覚えておきましょ~♪
それでは、次回もお楽しみに。さようなら!(遺伝性疾患プラス編集部)