二瓶: 皆さん、こんにちは!遺伝性疾患の患者さん・ご家族向けメディア「遺伝性疾患プラス」編集長の二瓶です。「教えて!編集長」は、遺伝性疾患に関わる難しい内容をわかりやすくお届けするコーナーです。
山田: 皆さん、こんにちは!遺伝性疾患プラス編集部の山田です。今回も、ラジオ感覚で聞いて頂ける音声コーナーでお届けします。
二瓶: 今回ご紹介するニュースは、「「生殖補助医療」や「母親の高齢化」、インプリンティング疾患の発症への影響が判明」です。
山田: インプリンティング疾患って何ですか?
二瓶: ベックウィズ・ヴィーデマン症候群、プラダー・ウィリ症候群、アンジェルマン症候群などが含まれる、希少疾患です。遺伝子や染色体を受け継ぐ時に、「エピ変異」や「片親性ダイソミー」といった変化が生じることがあります。こうした変化により、遺伝子のオン、オフを調節する仕組みが正しく働かなくなることで生じるのが、インプリンティング疾患です。
山田: 生殖補助医療って何ですか?
二瓶: 体外受精などの不妊治療法のことです。人工的な環境下で、卵子や精子、受精卵を操作するため、遺伝子の制御に異常が生じて、インプリンティング疾患の発症リスクを高めると考えられてきました。
山田: 今回の研究では、どのようなことがわかったんですか?
二瓶: 「エピ変異」が原因のインプリンティング疾患を持つお子さんのお母さんたちが生殖補助医療を受けていた頻度が、30歳以上の一般集団での生殖補助医療の頻度よりも高いことがわかりました。一方で、「片親性ダイソミー」が原因のインプリンティング疾患では、生殖補助医療の頻度は一般集団と同じでした。
つまり、生殖補助医療は、「エピ変異」が原因のインプリンティング疾患ではリスク因子となる一方で、「片親性ダイソミー」が原因のインプリンティング疾患では影響が少ないと示唆されたんです。
山田: その他、どのようなことがわかったんですか?
二瓶: 母親の年齢と、「エピ変異」もしくは「片親性ダイソミー」が原因のインプリンティング疾患との関連も調べました。その結果、「片親性ダイソミー」では母親の高齢化がリスク因子となるのに対し、「エピ変異」では関連が見られないことがわかりました。
山田: 今回の研究結果は、どのように受け止めたら良いのでしょうか?
二瓶: 研究グループは、「今回の結果を受けて、生殖補助医療を控えた方がいいなどの過度な心配をする必要はない」と注意を呼びかけています。インプリンティング疾患は希少疾患なので、新生児での発症頻度も低いなどの理由からです。
それでは、今回のニュースのポイントをおさらいしましょう。
- 「エピ変異」が原因のインプリンティング疾患は、生殖補助医療がリスク因子
- 「片親性ダイソミー」が原因のインプリンティング疾患は、母親の高齢化がリスク因子
- 必ずそうなるわけではなく、希少疾患でもあるので、過度な心配は必要ない
詳しい情報は、YouTubeの説明欄、もしくは記事の関連リンクにあるニュース記事をチェックしてみてくださいね。今日はここまでです。それでは、次回もお楽しみに。さようなら!
山田: 二瓶さんのウクレレと一緒にお届けしました!(遺伝性疾患プラス編集部)