【教えて!編集長 Radio ver.】⑨拡大新生児スクリーニング検査って何?

遺伝性疾患プラス編集部

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二瓶: 皆さん、こんにちは!遺伝性疾患の患者さん・ご家族向けメディア「遺伝性疾患プラス」編集長の二瓶です。「教えて!編集長」は、遺伝性疾患に関わる難しい内容をわかりやすくお届けするコーナーです。

山田: 皆さん、こんにちは!遺伝性疾患プラス編集部の山田です。今回も、ラジオ感覚で聞いて頂ける音声コーナーでお届けします。

二瓶: 今回は、「拡大新生児スクリーニング検査」に関わる最新ニュースを解説します。

2023年4月から、群馬県で拡大新生児スクリーニングが開始されました。対象疾患は、ライソゾーム病の6疾患と、重症複合免疫不全症(SCID)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、副腎白質ジストロフィーをあわせた9疾患です。群馬県のほかにも、すでに拡大新生児スクリーニングを行っている都道府県はありますが、今回の9疾患というのは、今のところ国内で最多の追加疾患検査数なのだそうですよ。

山田: 「拡大新生児スクリーニング検査」って何ですか?よく聞く「新生児マススクリーニング検査」のことでしょうか?

二瓶: 新生児マススクリーニング検査は、生まれてすぐにかかとから採血をして、20種類の疾患があるかどうかを調べる検査のことですが、拡大新生児スクリーニング検査は、この検査と同時に、自治体が追加で検査の対象と決めた疾患について、行われる検査のことです。つまり、群馬県で今回追加として開始した9疾患は、新生児マススクリーニング検査の20疾患と異なる疾患ということになります。

また、かかる費用も異なります。一般的な新生児マススクリーニング検査は公費負担であるため無料となりますが、拡大新生児スクリーニング検査を受けるかどうかは任意であるため、全額自己負担となります。

山田: なぜ有料でも拡大新生児スクリーニング検査が行われるんですか?

二瓶: 新生児マススクリーニング検査の対象となる20疾患は、生まれてすぐに診断がついて治療を開始することで、発症や進行が防げる疾患です。でも、この20疾患以外にも、早期診断・早期治療開始が望ましい疾患は複数あるんです。拡大新生児スクリーニング検査で対象となっている疾患は、そうした疾患なんです。

山田: そうなんですね。今回の群馬県での9疾患は、最多の追加疾患数とのことですが、今後、多くの疾患を対象とした拡大新生児スクリーニング検査が全国へ広まっていく可能性はあるのでしょうか?

二瓶: あると思っています。今回、群馬県では、検査対象疾患数が最多で早期発見・早期治療の実績もある、一般社団法人希少疾患の医療と研究を推進する会(CReARID、クレアリッド)における検査を利用する形で取り組み開始となりました。CReARIDは、全国拡大に向け取り組みを進めています。今後、全国的に、より多くの疾患を生まれてすぐに調べることができる体制が整い、早期診断・早期治療によって発症を未然に防ぐことができる人が増えることを期待したいですね。

それでは、今日のニュースのポイントをおさらいしましょう。

  1. 群馬県で、9疾患という最多検査数の拡大新生児スクリーニングが開始された。
  2. 早期診断・早期治療により、より多くの患者さんの発症予防や症状改善が期待される。

詳しい情報は、YouTubeの説明欄、もしくは記事の関連リンクにあるニュース記事をチェックしてみてくださいね。

今日はここまでです。それでは、次回もお楽しみに。さようなら!

山田: 二瓶さんのウクレレと一緒にお届けしました!(遺伝性疾患プラス編集部)

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