ヒトには2つの性染色体があり、1つはY染色体、もう1つはX染色体です。ヒトの各細胞には、通常23対の染色体があり、性染色体はそのうちの1対となります。Y染色体は、5900万塩基対以上から成り、細胞内の全DNAの約2%を占めています。
通常、ヒトの各細胞には1対の性染色体があり、Y染色体は男性だけに存在します。男性は父親からY染色体、母親からX染色体を受け継ぎ、X染色体とY染色体を1つずつ持ちます。一方で、女性は両親から1つずつX染色体を受け継ぎX染色体を2つ持っています。
Y染色体には、タンパク質の設計図となる遺伝子が70~200個含まれていると考えられています。Y染色体は男性だけが持つため、この染色体にある遺伝子は、男性の性別の決定や発達に関与するものが多くあります。例えば、胎児期に男性への発育に関与するSRY遺伝子などです。他には、男性が父親として生殖能力を持つために重要な遺伝子もY染色体には含まれています。
Y染色体にある多くの遺伝子は、Y染色体だけに存在する固有の遺伝子ですが、X染色体とY染色体にはどちらにも、「偽常染色体領域」と呼ばれる領域があり、偽常染色体領域にある遺伝子はX染色体とY染色体の両方に共通して存在しています。そのため、男性も女性もこの領域にある遺伝子のコピーを2つずつ持っています。この偽常染色体領域にある遺伝子は正常な発達に必要な遺伝子です。
Y染色体の変化に関連する疾患
Y染色体の構造やコピー数の変化に関連した疾患として、以下の疾患などが挙げられます。
- 46,XX精巣性性分化疾患
- 47,XYY症候群
- 48,XXYY症候群
- Y染色体不妊